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大系統ナスルーラ系を徹底解説
競馬における血統予想ではそれぞれの血統の特徴を知ることがとても大切です。
特に大きな影響を与えている系統のことを大系統と言い、この大系統を知っているだけである程度の予想はできるようになります。
今回は大系統の1つであるナスルーラ系について説明していきます。
現在の日本競馬でナスルーラ系と言えばサクラバクシンオーぐらいになっているほど少なくなっている系譜ですが、サンデーサイレンスが登場するまでは世界で活躍した血統なのです。
また、現在では希少な血統であるからこそ圧倒的な能力を発揮する条件があるという魅力があります。
この記事ではナスルーラ系について徹底的に解説していきます。
ナスルーラとは
まず、簡単ですがナスルーラについて説明していきます。
ナスルーラはイギリスで生まれた競走馬であり、10戦5勝という競争成績でした。
そのままイギリスで種牡馬としての活躍を始め、リーディングサイアーに輝くほどの実績を残しています。
種牡馬生活の途中でアメリカのクレイボーンファームに買い取られ、アメリカでも種牡馬として活躍するようになりました。
アメリカでもリーディングサイアーを獲得するなど、種牡馬として残した系譜はとてつもないものがあります。
イギリスとアメリカにナスルーラの血を残したことに加え、後継種牡馬が日本に輸入されたことで世界中において活躍した種牡馬ということになります。
ナスルーラが日本にもたらした影響
ナスルーラ系が日本にもたらした影響は、なんと言ってもそのスピードです。
残念ながらナスルーラが日本に輸入されたわけではなく、プリンスリーギフト系というナスルーラの後継種牡馬が輸入されたことで日本に根付くようになりました。
現在では日本でのナスルーラ系といえばサクラバクシンオーになりますが、9代血統などを見ると多くの馬にナスルーラの血が入っていることがわかります。
ナスルーラ系、プリンスリーギフト系はスピードの持続力に優れるため、小倉競馬場の芝レースなどで活躍が多く見られます。
欧州血統特有のスタミナとスピードを兼ね備えている優れた血を日本に残してくれているということです。
米国型と欧州型がごちゃ混ぜになるのは危険
血統には米国型、日本型、欧州型と大きく3つに分かれた系統がありますが、この3つを間違えることは競馬予想において致命傷になってしまいます。
日本型を間違えることはありませんが、米国型と欧州型は大系統が同じ馬から派生していることも多々あるため注意が必要です。
米国はダートが主流のスピード血統、欧州は凱旋門賞などを見ればわかるようにタフなスタミナ血統となっています。
同じナスルーラ系でもスピード型とスタミナ型に分かれるため、スタミナが必要なレースに米国型ナスルーラ系が走っても好走する期待は薄いということです。
では一体どこで見分けるのかということを下記していきますので読んでみてください。
米国型ナスルーラ
ナスルーラについては上にも書いていますが、本来欧州競馬で活躍していた馬です。
種牡馬として米国に輸入され、米国でも大活躍しています。
米国型ナスルーラ系とは、ナスルーラが米国で種牡馬として活躍していたときに繋がれた系譜のことになります。
米国型ナスルーラ系のイメージは、ざっくりになりますが爆発的なスピードを持つというイメージでいいかと思います。
そのため、長距離戦に向くことはありませんので注意してください。
ここからは主な米国型ナスルーラ系の系譜について説明していきます。
ボールドルーラー系
ボールドルーラー系は米国血統らしく、日本でもダートレースにおいて高い適性を示します。
ダートでの安定感はとても高く、その中でもマイルあたりの先行馬が残りやすい展開を得意としています。
またダートだけでなく、サンデーサイレンス系との配合では芝レースでも能力を発揮できる血統です。
現在もエーピーインディ系によって繋がれている血統です。
レッドゴッド系
レッドゴッド系はナスルーラ系の中でも特に米国色が強い血統で、早熟なスプリント血統です。
芝・ダートどちらにも適性がありますが、完全スプリント血統のためあまり注目されていませんでした。
母系から中長距離の適性を補うことでスタミナ不足を解消した血統です。
現存している後継馬の系譜としてはほとんどブラッシングルームだけとなり、ブラッシングルームも血統としては欧州型に分類されます。
レッドゴッドのスプリント能力を受け継いでいる現役馬はほとんどいなくなっています。
ネヴァーベント系(注意)
ネヴァーベント系は米国型でも欧州型でもある血統です。
母系によって米国型か欧州型に分かれるということになります。
米国型の血統としてはブレイヴェストローマンとなり、ダートで高い適性を示しています。
また牝馬であれば芝レースでも活躍しており、クロフネと似た血統であるということがわかります。
欧州型ナスルーラ
次は欧州型ナスルーラ系についてです。
欧州の馬の特徴としてはやはりスタミナに優れていることですが、ナスルーラ系はどちらかというとスピードに優れます。
ただしスピードだけに優れるのではなく、爆発的なスピードを持続する力があります。
米国型と似ているようで似ていないということなので、ナスルーラ系というだけで同じには考えられません。
欧州型ナスルーラ系は函館は小倉などのタフな芝レースに高い適性を示します。
元々はイギリスで活躍していた競走馬・種牡馬であるため、欧州型ナスルーラと呼ぶのは少し疑問に思うこともあります。
しかしこの記事ではしっかり分けて説明していきます。
グレイソブリン系(Grey Sovereign)
グレイソブリン系は長きにわたり日本競馬の芝レースに高い適性を示しています。
ナスルーラ系らしくスピードの持続力勝負に強い血統です。
世界的な名血フォルティノはステイヤー血統としても活躍し、カロやコジーン(Cozzene)など様々な距離で適性を示す馬を輩出しています。
また、東京競馬場に高い適性を示すトニービンもグレイソブリン系で現在活躍している種牡馬にも大きな影響をもたらしています。
プリンスリーギフト系
プリンスリーギフト系はグレイソブリン系と並び、長きにわたって日本競馬への適性を示してきた血統です。
ノーザンテースト系の牝系と相性が良く、現在日本では知っている競走馬でプリンスリーギフトの血を持つ馬はほとんどがその母系にノーザンテーストが入っています。
グレイソブリン系と比べ、軽い馬場でのスピードスピード勝負に強い血統です。
プリンスリーギフトは競走馬としての成績はいまいちで欧州での種牡馬としての評価も低いのですが、日本に輸入されたテスコボーイが種牡馬として大活躍したことで評価を高めた血統です。
ネヴァーベント系(注意)
米国型の項にも書いていますが、ネヴァーベント系は米国型でも欧州型でもある血統です。
ネヴァーベント自体は完全あるスプリント馬であったのですが、欧州型の母系と配合されたことでミルリーフやリヴァーマンという芝中長距離を得意とする血統が誕生しました。
特徴としてはゆったりとした追走から末脚を伸ばすような競馬を得意としています。
また、宝塚記念・有馬記念・オーストラリアのコックスプレートを勝利したリスグラシューは母系にミルリーフを持っています。
日本型ナスルーラとは?
今ではほとんど存在しなくなったが、日本型ナスルーラ系というものが存在します。
それが欧州型で紹介したプリンスリーギフト系です。
プリンスリーギフトは欧州の短距離で活躍した馬ですが、種牡馬としては欧州で活躍できませんでした。
実際にはプリンスリーギフトの後継種牡馬が日本に輸入されてから活躍が始まった血統です。
ここからは日本型ナスルーラ系について説明していきます。
ちなみに、現在の日本競馬に残っている日本型ナスルーラ系はサクラユタカオーからサクラバクシンオーへと繋がって系譜程度です。
テスコボーイ
プリンスリーギフトの直仔であり、日本にナスルーラの血を持ってきた馬がテスコボーイです。
ステイヤー時代になっていた日本競馬にスピードをもたらし一世を風靡した血統です。
ここからサクラユタカオー、サクラバクシンオーと日本における欧州型のスピード血統が波及していきました。
トウショウボーイ
トウショウボーイはマイルから長距離までのあらゆる距離でレコードを叩き出していたスーパーホースです。
ミスターシービーを輩出するなど種牡馬としての評価はとても高く、期待されていました。
現在父系としては残っていませんが、スイープトウショウやウオッカの母系に名を残しています。
サクラユタカオー
サクラユタカオーは天皇賞秋でレコード勝ちするなど中距離で活躍した競走馬です。
抜群のスピードを持つ反面、スタミナに優れず2000mを超えた距離では結果を残せませんでした。
後継種牡馬にサクラバクシンオーがおり、抜群のスピードが受け継がれています。
キタサンブラックの母系として入っており、競馬場における適正の有無はほとんど感じさせないほどの能力を発揮しています。
まとめ
ノーザンダンサー、ミスタープロスペクター、サンデーサイレンスなど現代の日本競馬において欠かせない血統ですが、そのほとんどがネアルコという馬にたどり着きます。
ネアルコの血を大々的に広めたのがナスルーラであるということは間違いありません。
ナスルーラの血が日本に輸入されたことで今の日本競馬があり、日本競馬を盛り上げているということになります。
残念ながらナスルーラ系と呼ばれる馬はほとんどいませんが、これからも日本競馬において重要な血統になることは間違いありません。
皆さんにも是非覚えておいてほしいと思います。